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仙台高等裁判所 昭和34年(く)6号 判決

少年 H

主文

本件抗告を棄却する。

理由

保護処分の決定に対しては、少年法三三条の明定するとおり、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とするときに限り許される。而して、抗告をするには、申立書に抗告の趣意すなわち原決定にいかなる法定理由に該当する事由があるかを具体的に明示すべきものであつて(少年審判規則四三条二項参照)、申立書にこれを明示しないでした抗告の申立は、抗告の手続がその規定に違反し不適法であると解すべきである。本件において申立人の提出した不服申立書と題する書面は、抗告の申立書と解すべきものとしても、右書面には単に不服につき再審を願う旨の記載があるのにとどまり、原決定にいかなる法定理由に該当する事由があるかについては、なんらの記載もないから、右申立は不適法であるといわなければならない。のみならず、一件記録を精査しても、原決定には右のごとき事由のあることを疑わせるような証跡はいささかも発見することができない。

よつて、少年法三三条一項少年審判規則五〇条により主文のとおり決定する。

(裁判官 門田実 山田瑞夫 有路不二男)

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